I.ロボダの「ウクライナのためのレクイエム」をバイオリンで演奏しました。

2023年6月の発表会の講師演奏でロボダのウクライナのためのレクイエムを演奏しました。

この曲は2014年のウクライナ紛争で犠牲になった人達に捧げられた曲です。

ウクライナ民謡も入っているロボダのレクイエムは、辛い思いを表現したと楽譜に記載がありました。

ジョージア出身のバイオリニスト、リサ・バティアシュビリがアイデアを出しており、演奏がyoutubeにアップされています。また演奏会でもよく演奏しているようです。私が大好きなバイオリニストで留学中、ジョージア出身なので、ロシアのサンクトペテルブルグで生演奏が聴けるのではないかと期待していました。ただ、ロシアと隣国の関係を知るととても浅はかな考えでした。当時マリンスキー劇場の音楽監督はゲルギエフで、プーチンに近い為、オファーを断っていたようです。ミュンヘン・フィルのゲルギエフ解雇された時、彼女は歓迎しています。何回か来日していますが、まだ生演奏を聴けていません。

ロボダ作曲、ウクライナのためのレクイエム
楽譜を取り寄せるのに3カ月程かかりました。

演奏される機会がまだまだ少ないレクイエムですが、2021年、ロシアによるウクライナ侵攻により演奏する人達が増えていると思います。演奏理由を思うととても複雑な気持ちになります。

旧ソビエト(ラドビアのリガ)出身の世界的バイオリニスト、ギドン・クレーメルも2022年に来日した時のコンサートで演奏したようです。(彼は1980年にドイツに亡命しています。)

発表会でレクイエムを演奏するか非常に悩みましたが、戦争が続いていること、できるだけこの曲を知ってもらいたい思いから演奏しました。

現代曲と聞くと、敬遠しがちですが、民謡も入っているので聴きやすい曲だと思います。

怒り、虚無感、悲しみ、絶望感、色々な感情が入り乱れ、極限状態に感じる重音からのピッツィカートは教会の鐘、心臓の音のようにも私には感じられます。

1日でも早く戦争が終わり、平和に過ごせますように。そして芸術家の卵、芸術家が活動できるよう祈っています。

バイオリン講師 澤井亜衣