大人から始めた方のバイオリンの音程の取り方のクセについて。

音程を良くするのは非常に根気のいることです。
ただ、音程はとても大事なので、今回はこちらをテーマにすることにしました。

大人になってからでも耳は鍛えられます。これは科学的にも証明されていますし、生徒様全員がレッスンを受けるたびに鍛えられているのを実感しています。もちろん耳が鍛えられるまでの期間には個人差があります。

最初は音程がわからないところからレッスンが始まります。ご自身では気づかないので、指摘をして音程を直すという作業を繰り返します。これを継続していくと、ご自身で何か気持ち悪いなという感覚が芽生えてきます。ただその時は生徒様は音を高くすればいいのか、低くすればいいのかわからないようなので、どのように直せばいいのかをアドバイスします。そして、その段階を乗り越えると、ご自身で直すことができてきます。

次は、音程の取り方のよくあるクセについて。

①最初はバイオリンの姿勢が慣れないので、4の指(小指)の音程が低くなる傾向の方が多いのですが、上達してくると、4の指が意識的に伸ばさなくても、正しい位置になります。しかし、最初の頃の感覚で、まだ伸びてないと思ってしまい、高くなってきてしまう生徒さんが非常に多いです。昔の感覚がなかなか抜けきれないようですが、リセットしてもらうようにお願いしています。

②E線の第一ポジションの1の指(人差し指)が高めな方が多いです。これはファのシャープを最初に習うからだと思います。最初にファのシャープを習う順番としてはとてもいいとは思いますが、早い段階で普通のファに慣れるべきです。シャープばかりの調性や長調をずっと引き続けるより、早めに音階などでフラットや短調を練習すべきだと考えます。その点では鈴木メソードのみで練習しているとシャープばかりの調性や長調になってしまうので、音階などで補います。

③ポジション移動をすると音程の幅が違うので、気を付けたいところです。
ⅠのポジションとⅤのポジションの音程の幅がかなり違います。Ⅴのポジションを幅広くとってしまったり、逆にポジション移動の練習に慣れてきてしまうとⅠのポジションの幅を狭くしてしまったり。Ⅴのポジションまで練習するようになったら、できるだけまんべんなくⅠからⅤのポジションが使用されている曲を練習します。本来なら耳でしっかり聴いて演奏すべきではありますが、最初Ⅴのポジションのあたりの音域は日常生活においてあまり使用されていないので耳が訓練できていません。音が分かりづらいという生徒様が多いです。ある程度の手の形を説明しながらの方が大人は上達するのではないかと考えます。

以上、音程について書いてみました。どのタイミングで生徒様に課題を与えるかは講師の腕の見せ所なのかもしれません。これにより、正しい音程を習得することができると思います。

バイオリン講師 澤井亜衣