古臭さが悪いとも限らない⁈ロシアで実践していたレッスン方法。

私がロシアに留学していた時代はソビエト崩壊から10年くらいたってからでした。

ソビエト時代の音楽教育は、とてもレベルが高かったと言われています。
その時代の厳しい音楽教育を受けてこられた音楽家がサンクトペテルブルグ音楽院で後進の指導にあたっていました。私の習っていたオフチャリク先生はご高齢で、ショスタコーヴィチやムラヴィンスキーと親交が深かったといえば、何となく先生の若かりし頃の時代がどんなだったかわかるかもしれません。

サンクトペテルブルグ音楽院はロシアで最古の音楽院でとても伝統のある学校ですが、その一方で時代にそぐわないこともあります。良いも悪いも背中合わせと言ったりしますが、まさにその言葉が当てはまるのがロシアで最も古いサンクトペテルブルグ音楽院になるわけです。その伝統のある演奏法や演出についてはまたの機会にお話したいと思います。

今回のテーマはレッスンの方法について。

4年生になると、教授法という授業があります。弦楽器の先生が教育について語られるのは、日本の授業では珍しいので、貴重な経験でした。

教授法では、何を勉強するのか?

バイオリンを始める時期を考えたり、演奏の仕方をどのように教えるか?世界ではどのように教えているのか?などを学びます。もちろんロシアの演奏スタイルについても学びます。有名なロシアの音楽家たちのエピソードを聞けるのも楽しかったです。

授業を受けているとき、私の先生のレッスンの話題になりました。

教授法の先生が「オフチャリク先生はよく生徒と一緒に弾くでしょ?」と私に言ってきました。

レッスンではよく私と一緒に演奏して下さりました。どうやらこのレッスン方法は古いスタイルらしいのです。確かにオフチャリク先生のアシスタントのサーシャさんのレッスンを受けた時は弾いてはくれませんでした。他の先生のレッスン(とくに若い先生)もそういうことはありませんでした。

でも、結構一緒に弾いてくれると分かりやすく、上手になった感じがして気分がいいのです。
(上手になった感じがして気分がいいのは必要ないかもしれませんが。)すごく効果的な感じがし、私もレッスン時に実践しています。

小さい頃習っていた先生は日本人でしたが、よく一緒に弾いて下さったことを思い出しました。子供なので上手く弾けないので気分さらによくなっていた感覚は今でも覚えています。その先生もルーツを辿っていくとロシアメソッドだったのかな?(現在90歳を越えていらっしゃいます)

教え方というのは本当に難しく、どれが正しいというものでもないので、これからもああでもない、こうでもないと試行錯誤しながら教えていくんだろうな。と思います。

バイオリン講師 澤井亜衣