松ヤニとは?松ヤニの塗り方で音が変わる?
松ヤニとは松の天然樹脂でできていて、それを固めたものです。
どんな時に使用するかというと、弓の毛は練習していると段々劣化してくるので、定期的に楽器屋さんで弓の毛替えを行います。毛替え後は、毛が新しく、とてもツルツルしているので、弦をこすっても音が鳴りません。その時に松ヤニをしっかり塗ります。
あとは練習していると弦との摩擦によって、松ヤニがとれてきてしまいます。そうなると、弓が滑って演奏しづらくなるので、松ヤニを塗ります。
私は、松ヤニの塗り方は本当に難しいなと思います。なぜなら、塗らなくても弓が滑って、弱々しい音になるし、塗りすぎても、ざらざらして雑音のような音が入るからです。
それから、先生の考え方や、国によっても使う頻度が違うと思います。
私が学生だった頃、レッスン時に、アナスタシア先生から松ヤニが足りないと言われる事が頻繁にありました。アナスタシア先生がおっしゃっていたのは、「日本人はあまり松ヤニを塗らないわね」
確かに、ロシア人はよく松ヤニを塗ります。理由の一つに、あまり毛替えをしません。やはり長く使っていると、滑りやすくなり松ヤニの使用頻度が増えると思います。
もう一つは、ロシア人ははっきりとした音を好みます。しっかりとつけていた方が音もはっきりでます。どちらが正解とかはない気がしますが、色々な意見は参考になります。
ということで、松ヤニの塗り方は難しく、意外とまんべんなく塗れなかったり、毛替え後は結構塗っても、スカスカな音になったりするので、松ヤニの塗り方のコツを書いていきたいと思います。
普段の練習では私は2、3往復ぐらい松脂を塗っています。ただ、2,3往復とは別に、元と先(矢印の部分)だけはしっかり塗っています。元と先の部分は塗ってもツルツルしていることが多いです。
お子様が松ヤニを塗る場合、手の力が弱く、しっかりと全体的に塗れていないことが多いので、お子様が松ヤニを塗った後、親御さんが確認してあげるといいと思います。
弓の毛替えをした後の松ヤニの塗り方ですが、全体的にしっかりと塗ります。元と先はさらにしっかりと塗って欲しい箇所ですが、毛の内側も塗ります。
そうすると、松ヤニが馴染みやすくなります。ただ、松ヤニに厚さがあると、弓の内側に入らず、塗りにくいのです。
そんな時は、使用して薄くなってきた松ヤニを使うと塗りやすいです。薄いのは、普段は使いづらいですが、内側を塗る際に便利です。
しっかり松ヤニを塗った後はバイオリンを弾くと、少しザラザラした音になり、松ヤニの白い粉が楽器に付着しますが、そのくらいで大丈夫だと思います。徐々に、毛に馴染み段々と弾きやすくなってくると思います。
参考にしていただけたら、嬉しいです。
次回は松ヤニの種類について書いていきたいと思います。
バイオリン講師 澤井亜衣