ロシアの音楽院の教室に飾ってあるもの
音楽院のたいていの教室に飾ってあるものは、そこの教室で教えていた歴代の先生の写真や肖像画です。
小さい教室だと1枚くらいしか飾っていませんが、広い教室はたくさんの先生の写真が飾ってあります。
印象に残っているのが、音楽院の二階にある25番の教室。弦楽器の授業や通常の試験が行われる場所です。木でできた二重のドアを開けると、グランドピアノと机と椅子と鏡が置かれています。広さは15畳くらい。私はバイオリンの授業は25番の教室で受けていました。
この教室には、大きなレオポルド・アウアーの肖像画が飾ってあります。
アウアーはバイオリニストでハイフェッツなどの有名なバイオリニストを世に送りだしました。チャイコフスキーのバイオリンコンチェルトを演奏不可能と言った有名なエピソードもあります。
その隣には私の先生の先生であるシェルとグトゥニコフ、そしてバイオリニスト前橋汀子さんの先生のヴァイマン、ルビンコフなど。私を囲うように飾ってあるのです。そしてアウアーの真正面に私の師が座って聞いているのです。身が引き締まり、レッスン前は手に冷や汗。

そして私の演奏が音程が悪いと、先生がアウワーの肖像画を指差してこう言うです。
「亜衣、知ってるか?アウアーは音程が悪い奴はバイオリニストじゃないって。言ってたんだぞ」と。
何回言われたんだろう。そして音階練習が足りないと怒られていました。

アウアーは音階をたくさん考えたし、アウアーの弟子である小野アンナも音階教本書いています。やはり、音階は大事です。

バイオリン講師 澤井亜衣