モデルとなった音楽教室の講師が、「ラブカは静かに弓を持つ」を読んだ感想。

ラブカは静かに弓を持つ

生徒さんからおススメされた本です。
安壇 美緒さんの『ラブカは静かに弓を持つ』です。

2023年の第20回本屋大賞で第2位になっています。
私の勤めている音楽教室を題材にしたもので読んでみることにしました。

 『これは、昨年、最高裁で判決が出た実在の係争が題材となっている。ヤマハなど音楽教室を運営する約250の事業者・団体が日本音楽著作権協会(JASRAC)を相手取り、レッスン時に講師や生徒が楽曲を演奏する際の著作権料を徴収する権利がないことを求めたものだ(教師による演奏のみが演奏権の対象となり、音楽教室側に音楽著作権使用料の支払い義務が生じるが、生徒の演奏については生じないとする判決が確定)。この裁判の審理中、JASRAC側は音楽教室に潜入調査させていた職員に調査内容を証言させていた。安壇さんは、当時の担当編集者から「この事件を題材にして小説を書いてみては」と提案された。』「好書好日より~」

当時、大きく報道され、音楽業界に大きな衝撃を与えたニュースでした。
音楽教室に潜入するなんて、私には考えもつかないことでした。


いつも著作権について、本当に悩みます。
私は音楽教室から著作権について講習を定期的に受けていますが、よくわからなくて、調べています。
音大生が著作権について、もっとしっかり勉強する機会があってもいいような気がします。

最初の方は本を読み進めるのに時間が掛かりましたが、第二章からは最寄りの駅で降りるのをもう少しで忘れてしまうぐらい夢中になりました。そして、感情移入しすぎてしまいました、、、。

先生のセリフ「あれ、このセリフ私言ったことあるな。」みたいなものがいくつかありました。
生徒のセリフにも共感してしまいました。

よく取材されておりまして、ミカサ音楽教室の補講内容や発表会内容がヤマハとほぼ同じです。

音楽と向き合い、音楽教室の人たちと関わっていく中で、主人公がどんどん変わっていきます。
どんな風に変わっていくかは敢えて書きませんが、それを良かったと捉えるか悪かったと捉えるかはもしかしたら、見方によって変わるかもしれません。

私は良かったのだと思いますが。

やっぱり師弟関係の関係性って大事なんだと改めて感じる本でした。
最後に先生に「バッハが弾きたい」って言えた主人公、本当に良かったなと思います。バッハ好きの私の意見ですけど、やっぱりバッハが弾きたいです。だって良い曲ですし、自分の好きな曲弾きたいです。

それにしても感情移入しすぎて、レッスン中も小説の中のセリフが頭によぎってしまいました。
バイオリン講師じゃなくてチェロ講師だったのが、ちょっと救われました。

バイオリン講師 澤井亜衣