恐ろしさとやりがいのバッハの無伴奏パルティータ
久しぶりに人前で演奏しました。
演奏した曲は無伴奏バイオリンのためのパルティータ第3番のプレリュード。
弾き終わった感想はさすがバッハ。よくバッハを本番で弾くと何がおこるかわからないといいますが、しみじみと痛感する演奏でした。
バッハは本番で弾いたことはあるのですが、今回はいつもより恐ろしさを感じてしまいました。何度弾いても難しい曲です。
プレリュードは約4分ほどの曲です。冒頭と最後以外は全て16分音符。集中力が他のバッハの無伴奏より必要です。この16分音符だけの旋律が私には永遠のような感じがしました。バッハが音楽で神と通じたいと思っていた気持ちがここに集結されているような気がします。音域が上がっていき、神にたどり着くような旋律がいくつかあるのですが、最後まで上がらず下がってしまいます。バッハが音楽について人間らしくというのか、人間として考えるけれども、神になかなか近づくことができないもどかしさのような旋律から感じられると思いました。自分で書いていて何がなんだかわからなくなってきましたが、とにかくバッハの曲は考えることがたくさんありすぎて、やりがいもあるし、飽きないし、難しいし、だからこそまた弾きたいし、リベンジしたいと思うのです。演奏中の呼吸も辛かった。
何回弾いても良くも悪くも同じ演奏ができないのが音楽のおもしろさです。練習しないと下手になるし、弾けば新しい感覚や感動も見つけることができます。
何でこんなところで失敗?っていうのが本番でのバッハ。また人前で弾いてみたいです。
誰かは忘れましたが、有名なバイオリニストが本番で10回弾けば自分の物になると言っていましたが、私は何回弾けばいいのか本番をするたびに思います。
バイオリン講師 澤井亜衣