日本の音大にあって、ロシアの音楽院にないもの

タイトルの通り、日本の音大にはあるのに、ロシアの音楽院にはないものがあります。

それは生徒専用の練習室です。

ほとんどの日本の音楽大学にはあるのではないでしょうか?日本では、授業の空き時間、授業の前後に使用します。部屋によってグランドピアノやアップライトピアノが置いてあり、無料で貸し出す大学もあれば、有料の大学もあります。

しかし、ロシアの音楽院には生徒専用の練習室がありません。私が通っていた時は授業をする部屋すら確保できない状況でした。ですから、ロシア語の授業は寮に先生が来てくださっていたので寮で受け、和声と聴音は音楽院の付属学校で受けていました。さらに部屋がない時は廊下で授業なんてこともありました。

少し話がズレましたが、生徒が練習するときはどこでするのか?という話。昼間は授業する部屋さえないので、できません。もし自分の楽器があれば廊下とかで弾いていたりする人はいますが、ピアノ専攻の生徒達は廊下にピアノはないのできません。

なので、アンサンブルとかピアノが弾きたい時は授業の前後に練習します。

音楽院は7時から開いているので大きな部屋やお気に入りのピアノがある場合は7時前から音楽院の前に並びます。(冬は寒いし真っ暗で辛いです)

だいたい9時くらいから授業が始まるので、練習できるのは2時間くらい。その間に調律師さんがピアノのメンテナンスをしにきます。調律師さんは毎日7時から9時の間に全部のピアノをチェックしています。

先生がきたら、そこで練習はできなくなります。夕方はいつ授業が終わるかわからないし、練習したい生徒が沢山いるので、授業の後の練習室の確保はあまり期待できないです。

音楽院が閉まるのはだいたい22時くらい。こんな環境の中、素晴らしい演奏家の卵がしっかり育つ理由が今でも不思議です。やる気さえあれば環境なんて二の次ということなんだろうな。

バイオリン講師 澤井亜衣