今回はバイオリン のテクニックについて書いてみます。
バイオリン は他の楽器に比べたら色々なテクニックがあると思います。その中の一つにスラースタッカート(ワンボウスタッカートともいいます)というものがあります。一弓でスタッカートを連続して弾くという奏法ですが本当に難しいです。結構曲の中に出てくるので、マスターしなければならないですし、できてもスピードが出なかったり、ダウン(下げ弓)やアップ(上げ弓)によっても難しさが異なりかなり辛いテクニックです。
私は正直できません!
小学生の時から練習しているのにできません。色んな先生から教わっても無理でした。
色んな言い回しで教えて下さり、何回も弾いて見せてくれた先生達ですが、できなかったので本当に申し訳なかったです。こんなにできないものかと。この奏法が大嫌いでスラースタッカート恐怖症です。
ただ憧れの曲は、スラースタッカートが入っているというのが現実。それだけ、このテクニックはカッコイイのです。
色々質問してみたり、本を読んだりもして、自分なりに研究してみてわかったことは、
①できる人は練習しなくてもできるテクニックであり、できない人はトコトンできないということ。
②バイオリニストの天満敦子さんはコンクールでたまたまスラースタッカートが弾けて受かったこと。
③ロシア人の先生曰く、12歳までにマスターしないと弾けないとのこと。(これを知った時、すでに私は22歳でした。)
➃オイストラフは苦手だった。(アナスタシア先生はオイストラフはできなかったのよ。と言っていました)
恩師アナスタシア先生もできなかったので、見せ場であるスラースタッカートを一弓ではなく、思い切り弓を切って弾いていました。先生はできないテクニックの長時間練習は意味がないのでその分、他の場所を練習した方がいいという考え方でした。でも、それはチャイコフスキー国際コンクール最高位を獲ったアナスタシア先生だから通用するのであり、私は練習をして今に至ります。
最近、少しですがスラースタッカートができるようになってきている感じがします。その一つの理由にダンベルで鍛えたからなんじゃないかなと思います。この2、3年軽いダンベル運動を少しですが続けていました。そうしたらできるようになってきました。でも運動をサボるとまたできなくなったので効果があるのではと思っています。スラースタッカートで筋肉量が落ちたかわかりそうです。それからダンベル運動をした後にスラースタッカートを弾いた方が良く弾けるような気がします。理由はよくわかりませんが。
何となくですが、スラースタッカートは男性の方が上手な方が多い気がします。筋肉が関係しているとすれば、筋肉量が男性の方があるので納得です。
ここで、少しできたスラースタッカートの成果をお聴き下さい。
これでも以前に比べたら良くなったのです。
スラースタッカートと言えば、ハイフェッツだと思います。本当に素晴らしいです。ポーカーフェイスでなんてことなく弾いているので、難しさを感じさせませんが本当は難しいということをわかっていただきたいです。すごい人が弾くとこうなります。ここまでくると凄すぎてもはや参考になりません。
あとは五嶋みどりさんも、ヴィエニヤフスキーのコンチェルトのダウンから入るスラースタッカートも圧巻でした。普通の人はこの部分をアップから弾くのですが、さすがみどりさん。
今回はコアな内容なので、よくわからなかった方もいるかもしれませんが、このテクニックで困っている人の参考になればいいなと思います。
バイオリン講師 澤井亜衣