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ロシアの学校(音楽院)は5年制で年に基本2回試験があります。5年生(国家試験)は1回のみです。
専攻している楽器(私の場合はバイオリン)に加え、アンサンブル(室内楽)、カルテット、副科ピアノが実技試験。大きい教室やホールで先生達の前で演奏し、成績がつけられます。

成績のつけ方は5段階評価で1、2、3、4、5。+(プラス)と-(マイナス)もあります。例えば、3-や5+なんかもあります。5+がつく人はごく稀で、有名な国際コンクール受賞者やすでに海外でも演奏をしている人がもらえます。 

1と2はつけられることはほぼないので、3はかなり悪い評価です。3がついた場合は再試、進級や大学院に入学できない可能性も出てきます。

その他の科目(ロシア語や音楽史、哲学など)は筆記試験や口頭試問です。前期の試験はない学年があり、成績表に先生にサインのみをもらうこともあります。成績表は5年分の試験の成績が記載されています。

ロシアの成績表
入学すると事務局からこんなのをもらいます。
ロシアの成績表
試験科目と成績とサインと名前を書くようになってます。

5年生は卒業試験が国家試験になるので、他の都市の音楽院の先生方を試験に招き、採点します。卒業試験は音楽院の大ホール、グラズノフホールで演奏します。私の卒業試験ではモスクワとペトロザボーツクの先生が審査しました。

さすがに、卒業試験の日程は前から決まっていましたが、普段の試験は明日バイオリンの試験かも。という感じでドキドキしながら練習していました。
試験当日の演奏の順番も決まっていなくて、一人弾き終わると伴奏者さんが試験会場から出てきて、「じゃあ、次誰弾く?」みたいな感じでした。

このテキトーさ。いいのか悪いのか、、、。

慣れてくると、「またか。まあ、いつもこうだよね」となり、動じなくなってくるものです。

バイオリン講師 澤井亜衣

ロシア人男性は基本的にレディーファーストです。
道を譲ってくれたり、コートを着せてくれたり、手を差し伸べてくれたりします。

地下鉄でもお年寄りだけではなく、女性にも席を譲ってくれるので、座席に座っているのは女性の方が多いです。

今回はレディーファーストに関しての体験を書いてみたいと思います。

マルシルートカ(乗り合いタクシー)に偶然二人の男の先輩と一緒になった時のこと。降りる際に、一人の先輩が先にタクシーから降りて手を差し伸べてくれたのです。(乗り合いタクシーはボックスカーなので段差があります。)
しかし、私はそれに全く気付かず自分で降りてしまいました、、、。

時すでに遅し。もう一人の先輩が手を差し伸べてくれた先輩に対し、「手を差し伸べるのが遅いんだよ!」と言って、「そっか。」と言って先輩は苦笑いしていました。(いやいや、私が気づいてなかったんです!)でも、たぶんロシア人女性なら、すんなりと手を置いたと思います。なかなかこういうのは身に着けられない、、、。文化や習慣の違いをひしひしと感じる出来事でした。

そしてもう一つ。私のバイオリンの先生は当時70代後半のおじいちゃん。レッスン後はコートを学生だった私に着せてくれました。尊敬している先生にコートを着せてもらうのは、何だか申し訳ない気持ちになるものです。

レッスンであまりに私の演奏が良くなかったので「悪すぎて教えることはないから、帰れ。」と言われ、帰る準備をすることになってしまった時の事です。めちゃくちゃ怒られたのにコートは着せてくれました。

怒られたことと、レディーファーストは別.。怒られた後に着せてくれたコートの重みはかなりの重さに感じられ、ものすごく、ものすごく気まずかったのを覚えています。

バイオリン講師 澤井亜衣

バイオリン教室ノータはピアノ伴奏を付けてレッスンをしています。
曲が仕上げの段階に入ったら、私ができる範囲でピアノを弾いて、生徒さんと一緒に演奏しています。

「先生、ピアノ弾けるんですか?」と時々質問をされますが、音楽高校、音楽大学受験はピアノが必須なのです。
もちろん、学校に入ってからもピアノの個人レッスンがあり、試験もあります。最近は音楽の道を志す人が少ないため、ピアノの試験免除なんてこともあるようです。

なぜピアノ伴奏をするかというと、いくつか理由があります。

ほとんどのバイオリン曲が伴奏が付いており、伴奏を付けることにより、一つの完成された曲だと思うからです。
私も学生時代に、先生にレッスンで難しい曲でも伴奏をしてもらい、伴奏と合わせることに慣れて、発表会などにとても役に立ちました。

それから、伴奏と弾くと気分が上がり、楽しい。演奏している実感があります。バイオリンは単音なので、伴奏が入るととても豪華になるのです。小さい頃は伴奏付きだと上手くなったような気がしていました。充実感もあります。

実際、伴奏あり、伴奏なしを少しだけ載せてみたいと思います。

今年、没後100年のサンサーンスの白鳥を少し弾いてみました。

伴奏なし。

伴奏あり。

伴奏のない方が動きがないように感じます。
ピアノ伴奏がある方が、湖の白鳥の動きを助けてくれ、風や太陽の光で反射する水面のキラキラした感じなど、情景が浮かびやすいと思います。

どんな情景が浮かぶかは人それぞれ。それも音楽の醍醐味だと思います。

バイオリン講師 澤井亜衣

今回のブログはマスネ作曲のタイスの瞑想曲について。もとはオペラ「タイス」の曲(間奏曲)ですが、バイオリンとピアノ、もしくはバイオリンとオーケストラで演奏されることがとても多い曲です。

CMでもドラマでも使用され、リサイタルのプログラムやアンコール、CDにもよく入っているため、人気があり有名です。

生徒さんも弾きたいと思っている方が多いので、レッスンもしますし、リクエストも多い曲なのでコンサートでもよく弾きます。

オペラ「タイス」は、修道士アタナエルと遊女タイスの恋物語です。「タイスの瞑想曲」はタイスが改心するシーンで演奏されます。穏やかな曲だと思っていましたが、楽譜を見てみると、楽語(音楽の用語)で激しく、情熱的に等の指示があり、強弱もとても小さく(pp)からとても強く (ff) まで幅があります。演奏時間は5分以上。全体的にゆったりとしているので何となく弾いてしまうとダラダラ聴こえてしまう難しい曲です。

メロディーが繰り返されていますが、ピアノの音が若干違うことにより、雰囲気が変わります。とても気に入っているのでそこを載せてみたいと思いました。

まずは一回目のバイオリンと伴奏

5秒目のところがピアノがレの音

二回目のバイオリンと伴奏

5秒目のところがピアノがドの音

一回目は穏やかな感じですが、二回目は広がりがあるような感じに聴こえます。

一回目はピアノの音がレ(ニ長調1番目の音、主音)でとても大事な音を伴奏の音にしているのですが、二回目は敢えてドのナチュラルにしているところが、不安、不完全な感じ、次に向けての明るい兆しへの音にわかりやすく繋がっていく感じがします。

穏やかなだけではなく、前向きだったり、激しかったり、不安感、柔らかさだったりと色々な感覚が詰まっている曲です。全部弾いてみたので、こちらも良かったらお聴きください。

バイオリン講師 澤井亜衣