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新宿にあるバー、トロイメライでマスネ作曲のタイスの瞑想曲を演奏する予定です。

「ゆっくりなテンポで美しい有名な曲は何ですか?」と聞かれたらおそらくタイスの瞑想曲と答えると思います。バイオリン奏者が良く演奏する曲です。

もともとは、マスネ作曲のオペラ「タイス」の1場と2場の間に弾かれる間奏曲で、コンサートマスター(オーケストラの演奏をまとめる人で、第1バイオリンの1番前に座っている人)がソリストになり、オーケストラと演奏します。

オペラのあらすじですが、娼婦のタイスと修道士アタナエルの恋物語です。この瞑想曲はタイスがアタナエルの説得により、改心して、信仰の道に入るという重要な場面で演奏されます。

現在は、オペラ「タイス」が上演されるより、タイスの瞑想曲の部分のみをバイオリンのリサイタルなどで演奏されることの方が多い気がします。

タイスの瞑想曲の中で「フラジオ」という奏法が結構でてきます。フラジオの弾き方ですが、本来ならバイオリンは左手をしっかり弦に押さえて演奏するのですが、フラジオは弦に軽く触れるように、指を弦にのせます。そうすると透明感のある不思議な響きの音が出ます。

まずは、しっかりと指を押さえた普通のバイオリンの音です。

バイオリンの押さえ方
薬指を押さえました。レの音が鳴ります。

次に指を弦に触れただけのフラジオの音を載せてみました。先程の普通の音の音源と同じ場所で弾いていますが、かなり高い音に感じられると思います。周波数の違いらしいです。

フラジオ
同じく薬指ですが弦に触れるだけです。

この音を初めて聴く子供達は、とても喜んでくれます。バイオリンのいつもの音色とはかなりの違いがあるからだと思います。そして、子供達はこの弾き方をとても練習したがります。綺麗な音ということもあるとは思いますが、指の力がいらないからです。子供達にとってはフラジオの方が楽みたいです。確かに私も簡単に音が出せるので、フラジオの音を出して子供の頃は遊んでいました。

フラジオの音符の書き方も特徴があります。これがフラジオの音符です。
ダイヤっぽい形をしています。

そして、タイスの瞑想曲の最後の段を載せてみました。

タイスの瞑想曲
赤いカッコのところを演奏しました。

最後の2つ音符はフラジオで弾いています。タイスの瞑想曲は他の場所でもフラジオの音が何回かでてきます。

瞑想曲なので、宗教的で厳かな感じですが、、強弱がとても激しく、物語があるということもあり、どこか人間臭さが感じられます。二面性がある曲だと思います。少しでも、それが表現できたらと思います。

9月24日(火)に新宿にあるバー、トロイメライでタイスの瞑想曲を演奏いたします。名曲ですので、聴きに来ていただけたら嬉しいです。20:00〜になります。お時間がありましたら、是非お越しください。

バイオリン講師 澤井亜衣

ロシア人にとって夏は好きな季節です。
とても冬が長いからだと思います。

私が通っていた音楽院の夏休みは、7、8月と2カ月程ありました。
社会人も日本人に比べてロシア人の方が夏休みは多いと思います。
ロシア人の夏休みですが、ダーチャで過ごす人が多いです。
ダーチャとは別荘のことを言います。

別荘と聞くと富裕層しか持っていないイメージが日本にはあるかと思いますが、ダーチャを持っている人は結構います。サンクトペテルブルグはアパートばかりなので、一軒家のダーチャで夏を過ごすのは楽しみの一つなのかもしれません。

サンクトペテルブルグから郊外までは車や、電車も通っていいるので、30分~1時間くらいでダーチャのある郊外へ着くことができます。ダーチャの庭でハーブなどを育てたりもします。 育てたハーブなどは、おばあさんたちが、サンクトペテルブルグの地下鉄の駅前などで売っているのを夏になるとよく見かけます。
ダーチャの周りは自然も多いので、バーベキューや、木いちご狩りなども楽しめます。友達がダーチャで木いちご狩りをしたからと、ジャムを作ってくれたことがありました。新鮮な木いちごでできたジャムは、とても美味しかった記憶があります。

夏に収穫した果物は、一年分のジャムにしたりします。紅茶と食べたり(いわゆるロシアンティー)、クラッカー、クレープやパンなどにのせたりして食べます。とても甘いです!日本のレシピだと、お砂糖が果物に対して半分くらいの量ですが、ロシアは果物と同量かそれ以上お砂糖を入れます。その方が保存期間も長いですし、甘いのが好きだからです。

普通のスーパーでも、お砂糖は5キロや10キロ単位で売っていたりします。お砂糖の種類はなぜか、上白糖はなくグラニュー糖です。私は、上白糖売っているを見たことありませんでした。

サンクトペテルブルグもとても良い街ですが、少し離れると、クロンシュタットやパブロフスクなど、良い街があります。ゆったりとしていて癒される場所です。夏のパブロフスクの緑はとても豊かです。
もしロシアに行く機会がありましたら、訪れて見て下さい。

バイオリン講師 澤井亜衣


私は、小さい子供の生徒様を教えることもあります。ディズニープリンセスの曲を練習したりするので、プリンセスの話はよく話題になります。

私の周りの子供達の中で1番人気のプリンセスはラプンツェルです。私は5年くらい前まで「塔の上のラプンツェル」の映画を観たことがなかったのですが、子供達にとても人気なので気になり観ることにしました。

やはり、ラプンツェル面白かったです!

そして、映画で流れる音楽「輝く未来」も好きになりました。たまに、この曲をコンサートで演奏しています。

プリンセスのお話なので、恋物語はあるものの、根本には人間同士の信頼関係がテーマになっていると思いました。
ラプンツェルとユージーンとの間に信頼関係が芽生えてくる時に歌われる「輝く未来」は穏やかで温かみのある曲だと思います。歌うシーンで出てくるランタンの光にも合う、ぬくもりがある音楽のような気がしました。

作曲されたのはメンケンさんです。アナと雪の女王やアラジン、美女と野獣などの作品を手掛けています。

今回は輝く未来をバイオリンの奏法の一つであるビブラートを使って、載せてみました。ビブラートとは、左手で指を押さえる時に、位置を微妙に揺らす奏法です。ビブラートをかけながら演奏するとふくよかな音色になり、ゆっくりとした曲などは表情が豊かになり、綺麗に聴こえます。

まずは、ビブラートなしで輝く未来の冒頭の部分を演奏してみました。

次に同じ部分をビブラートありで弾いてみました。

どうでしょうか?違って聴こえましたでしょうか?

私は、輝く未来を弾く時は、音符のほとんどにビブラートをつけて演奏しています。その方が曲に合うと思うからです。柔らかさ、穏やかさ、安心感のような音色が出せたらいいなと思いながら、ビブラートのかけ方を練習しています。

ラプンツェルの曲は、美女と野獣やアラジンに比べて演奏される機会が少ない感じがしますが、同じくらい素晴らしい曲です。

9月24日(火)新宿にあるバー、トロイメライにてコンサートを行います。プログラムに輝く未来を予定しております。お時間がありましたら、是非お越しください。

バイオリン講師 澤井亜衣

ロシア語で、魚の卵のことを「イクラー」икраと言います。発音はラーは巻き舌になります。

日本語で鮭の卵のことをイクラと言いますが、ロシア語から来ています。最近はよくテレビなどでもこの事は取り上げているので、ご存知の方も多いかもしれません。ロシアの友達に日本語でもイクラって言うんだよ。って言うと、びっくりされます。

イクラーだけではロシア語だとただの魚の卵なってしまうので、鮭の卵と言いたいときには、ロシア語で赤いという形容詞をつけて、赤い卵クラースナヤイクラー。красная икраそれから、ロシア語で黒いという形容詞をつけると黒い卵チョルナヤイクラーчёрная икраはキャビアという意味になります。

ロシア人は魚の卵は大好きで、パンやクレープなどにのっけたりしながら、食べています。ロシアも主食にのっけて食べます。家庭でも食べますが、クレープ屋さんにいくとメニューの中にトッピングでイクラやキャビアがあります。キャビアのトッピングはかなり値段が高かった記憶があります。私はキャビアを注文をしている人を見たことがありませんでした。

ポテトチップスにもイクラ味やキャビア味があるくらいです。イクラ味のポテトチップスを食べたことありますが、味はイクラ味か正直わかりませんでしたが、美味しかった記憶があります。

ロシアにあったのかもしれませんが、たらこは生でも冷凍でも私は見かけたことはありませんでした。唯一、缶詰めがあったので、購入して食べましたが、薬品みたいな味で美味しくありませんでした。缶詰めのたらこは、白っぽく、卵の粒がかなり小さかったです。

イクラはスーパーや市場で量り売りで購入できます。大きなスーパーに行くと、二、三種類イクラが売ってます。日本だと、イクラは大きい粒の方が美味しいイメージがあって値段も高いと思うのですが、ロシアは逆。小さい粒の方が値段が高かったです。理由はよくわからないのですが。もともとイクラ自体の値段も高いし、大きい粒のイクラの方が美味しそうに見えるので安いイクラを購入していました。

ロシア人は日本食がとても大好きです。ロシア料理が脂っこくてカラダに悪いと思っている方達が多く、日本食はヘルシーだし美味しいと言ってくれます。ロシアにはお寿司屋さんもたくさんあり、ネタにはイクラもあります。

学生の頃、ロシア人に日本食を作る機会がありましたが、イクラも具材になる手巻き寿司は好評でよく作っていました。ロシア人にとって、自分で作って巻いて食べるのも楽しいみたいでした。

でも、手巻き寿司で、イクラより人気だった具材は、甘めの卵焼き。ロシア料理は砂糖が入っている料理はないため、卵焼きを初めて食べるロシア人はその味に驚いて「調味料、何が入ってるの?」と必ず聞かれていました。甘いのが好きなようです。

もう10年以上前の話なので、参考になるかはわかりませんが、おそらくロシア人達は日本食が好きなことは変わっていないと思います。

バイオリン講師 澤井亜衣

クライスラー(1875~1962)はウィーン出身のバイオリニストであり、作曲家で、ウィーンが色濃く表現されている作品が多いです。自身の出身地をとても愛していた音楽家だと思います。

愛の悲しみもレントラーという、ウィーンの古いワルツのテンポでと表記されており、愛の喜びも、ウィーン地方の古い民謡に基づいています。彼の音楽はウィーンなしでは、語れないだろうと思います。

コンサートに向けて、愛の悲しみと愛の喜びを練習していますが、二つ同時に取り上げることによって、比べることができて、とても面白いです。

両方とも共通して言えることはメロディーの繰り返しがとても多いこと。悲しみと喜びを丁寧に表現したかったのか何回も同じメロディーが繰り返されます。

悲しみは重音を使用していないのに対し、喜びは重音を惜しみなく使って作曲されています。エストレリータのブログで少し書きましたが、重音を使うと華やかになるので、バイオリンで喜びを表現するにはとても効果的だと思います。

今回は愛の悲しみと愛の喜びの最後の部分を載せてみることにしました。
最後の最後まで、愛の悲しみは悲しみ、愛の喜びは喜びが表現されていると思ったからです。

まずは愛の悲しみの最後の部分。

最初は2つの音を急速に連続にして往復させる奏法(トリルと言います)をして、消えるような感じで終わります。

次は愛の喜びの最後の部分

私はどちらかと言えば、哀愁のこもった愛の悲しみの方が好きです。
特に気に入っている箇所があります。その音源がこちらです。

赤いカッコのところを演奏してみました。

この青で丸を付けた場所が、少し悲しみから抜けたような明るい感じ(音楽用語では長調。瞬間的明るくなるだけですが。)になっているところが好きです。最初から青い部分までは悲しい感じで(音楽用語で短調)、音と音との跳躍があったとしても5つ分(例えばドから始まったとしたらソまで。 音楽用語で【5度】と言います。)なのですが、青い部分は明るい感じになるからなのか、ドからラまで(ドレミファソラ6つ分。【6度】)なっています。この青い部分は、今までにない6度あがるということで、少し希望の持てた音と音に私には聴こえます。その後、また黄色の部分はまた悲しい感じ(短調)に戻ります。黄色の部分は音がシからファなので跳躍は5つ分。また最初と同じ悲しい感じになったんだなと思いました。

音と音のつながりはおもしろく、これだけで音楽は表現できませんが、これだけでも曲について色々考えることができます。

9月24日(火)新宿にあるバートロイメライで、クライスラーの「愛の喜び」と「愛の悲しみ」を演奏します。どっちが好みか考えたりするのも楽しいと思います。お時間がありましたら、是非お越しください。

バイオリン講師 澤井亜衣

ホームぺージのごあいさつに、バイオリンは人の声に近い楽器と書きました。それが理由かどうかはわかりませんが、感情のこもった作品がバイオリン曲にはたくさんあります。

ウィーン出身の名ヴァイオリニストで、作曲家でもあるクライスラー(1875~1962)も感情のこもった作品を数多く残した音楽家だと思います。ロンドンデリーの歌などの編曲もしており、素晴らしい作品をバイオリン曲に編曲して、残してくれました。

クライスラー
クライスラーの写真。凛とした佇まいです。

彼の作品の特徴として、どれも高貴です。中国の太鼓や、ロマンティックな子守唄など、タイトルを見ても、面白そうと思える作品が多くあり、演奏時間も2、3分程度の曲が多く、聴きやすいです。

クライスラーの作品の代表作として、愛の悲しみという曲があります。
広瀬すずさん主演映画「四月は君の嘘」の中で演奏され、さらに有名になったと思います。よくリクエストされる曲なので、今回も新宿にあるバー、トロイメライで演奏することになりました。対をなす作品として、「愛の喜び」という曲があります。リクエストはなかったのですが、せっかく対になっているので比べてもらいたいという思いがあり、これも演奏します。

愛の悲しみは、ウィーン古典舞曲集の中に入っており、1曲目は愛の喜び、2曲目が、この愛の悲しみ、そして3曲目は美しきロスマリンという曲です。

愛の悲しみはウィーンの古いスタイルのワルツで書かれています。なので、悲しみと言ってもそこまで悲しい感じには聴こえないような気がします。

映画「四月は君の嘘」を観たのですが、映画の中ではショットという出版社から出ている楽譜を使用していました。有名な曲は、様々な出版社から出版されていて、愛の悲しみも色々な版があります。

今回、私はショット版で演奏します。

クライスラーショット版の楽譜

映画を観てこんな表紙じゃなかったと思われるかもしれませんが、これは、ショット版のクライスラーの作品がたくさん載っていている楽譜です。映画の楽譜は、愛の悲しみの一曲だけしか入っていません。
一曲だけで購入する場合は、映画に出てきた表紙のようになります。こんな感じです。

ショット版の楽譜
シューマンの楽譜。クライスラーじゃなくてすみません。

この楽譜はシューマンですが、映画に出てきた楽譜は、こんな表紙だったと思います。

映画で、山崎賢人さんが、ラフマニノフ編曲の「愛の悲しみ」をピアノで演奏しているシーンがあります。ラフマニノフはロシアの作曲家で、ピアニストとしても活躍していた音楽家です。クライスラーと親交があったそうです。ラフマニノフはクライスラー作曲の「愛の喜び」も編曲しています。

そして、クライスラーもラフマニノフの曲を編曲しています。「パガニーニの主題による狂詩曲より第18変奏」という曲です。

ラフマニノフ狂詩曲 クライスラー編
クライスラーが編曲したラフマニノフの曲。

お互いの曲を尊敬し、好きだったから、お互いが得意とする楽器で編曲した、ラフマニノフとクライスラーの関係はいいものだなあと思いました。
ラフマニノフはピアニストだったので、バイオリンの曲がとても少ないです。なので、ラフマニノフが好きな私は、ラフマニノフの曲をクライスラーが編曲してバイオリン譜にしてくれたことに感謝です。

9月24日(火)に新宿にあるバー、トロイメライにて20:00〜演奏します。クライスラーの愛の悲しみ、愛の喜びを弾く予定です。お時間がありましたら、是非お越しください。

バイオリン講師 澤井亜衣


ロシアにクワスという飲み物があります。ロシア語には「ワ」の発音がないので、ロシア語っぽく発音すると、「クヴァス」となります。

どんな飲み物かというと、発泡性果実飲料で色は茶色です。
ロシアでは黒パン(ライ麦パン)をよく食べるのですが、熱湯に黒パンや色々な果物を混ぜて発酵させるとクワスができます。

とても栄養価の高い飲み物らしいです。
夏によく飲みます。なぜなら、夏になると駅前でクワスを売るからです。(一年中ペットボトルでスーパーでは手に入ります。)紙コップで一杯いくらで売ってくれます。サーバーから入れてくれるクワスはビールみたいな感じです。

私は、山岸涼子さんのロシアのバレエを題材にした漫画「アラベスク」で主人公のノンナがクワスを飲んでいたことでクワスのことを知りました。とても美味しそうに思ったので、アナスタシア先生に「クワスは美味しいですか?」とお尋ねしたところ、「おいしい!コーラみたいな感じ」とおしゃっていましたし、「夏は子供はクワス。大人はビール。体にもいいし。」ともおっしゃっていたので、ますますクワスが飲みたくなり、絶対にロシアに行ったら、クワスを飲みたい!と思っていました。

アラベスクのロシアの飲み物クワス
ロシアがどんな国か知りたくて学生の頃、漫画を読んでいました。

ロシア留学の最初の夏に、音楽院の最寄り駅のセンナヤ広場で初めてクワスを飲みました。味は、酸っぱく、炭酸もあんまりない感じで、私にはイマイチでした。もしかしたら小さい頃から飲んでいると、日本の甘酒のような感じで、癖もなく飲めるのかもしれません。ロシアのバイオリニスト、ミルシテインも好きだったようです。

他にもロシアの飲み物で、モルス(МОРС)というものがあります。
私はこの飲み物は好きでした。これはキイチゴやスグリ、ブルベリーなどが入った、ベリー系のジュースです。
そのままで食べると酸っぱいので大量の砂糖(ロシア人はお砂糖をたくさん使います。)を足して水で割って飲みます。スーパーで紙パックに入ったモルスも購入できますが、ロシア人自家製のものの方が果肉も入っていて美味しいです。

どんな味かというと、アセロラドリンクに似ています。

ロシア人の友達が日本にやって来た時に、モルスが飲みたくなって、似たようなものを探していたら、アセロラドリンクがモルスに似てるから、スーパーにある在庫を買い占めた。と教えてくれました。おそらくロシア人が言っているので間違いないと思います。
それから、モルスが酸っぱい飲み物なので、ロシア人は結構酸っぱめのジュースが好きです。なので梅ジュースとかもオススメすると喜ばれます。ロシア人が梅ジュースが好きなのは、結構意外でした。モルスが飲みたくなったらアセロラドリンク飲んでみようと思います。

バイオリン講師 澤井亜衣

ポンセ(1882~1948)のエストレリータを知ったのは高校生くらいの時です。ロシアのバイオリニスト、ハイフェッツのアンコール集のCDを購入したら入っていました。ハイフェッツが編曲し、演奏することによって、有名になったそうです。

初めて聴いた時の感想は、オシャレで大人っぽい曲だなと思ったのを覚えています。エストレリータはスペイン語で小さな星という意味だそうです。別名メキシコのセレナードとも言われています。ポンセはメキシコの作曲家でギターの作品を多く残しています。彼の代表作はこのエストレリータです。

エストレリータはギターで演奏することもありますが、もともとは歌曲です。作詞もポンセがしています。訳詞を読みましたが、かなりロマンチックなものでした。(小さな星に、女性が彼の思いを教えて欲しいと願う愛をテーマにした詩でした。)

ポンセはこの作品を夜行列車で考えたようです。作詞した場所もロマンチックで絵になります。

エストレリータは、アンコールに良く演奏されます。私の恩師アナスタシア先生もリサイタルのアンコールで演奏されていました。この曲で、最後がフワッとした余韻が残る雰囲気のコンサートになったことを覚えています。

バイオリンで弾くと、どこか懐かしい感じになるような気がします。歌詞があればもっと雰囲気が出るのかもしれませんが、その分、ヴィブラート(音を揺らして弾く奏法)やポルタメント(音から音へ音程を変えながら滑らせる奏法)を使ってロマンチックに弾けるといいかなと思います。

それから、音が重音になるところはとても魅力的です。しかも高音なので、とても華やかで、タイトルにピッタリです。ヴァイオリン は単音で演奏する場合が殆どですが、重音で弾くと印象が変わりますし、華やかさが増します。今回はその重音の部分を1つは単音(上の声部のメロディーラインのみ)2つ目は楽譜通りの重音の音を載せてみました。

まずは単音です。

そして、楽譜通りの重音です。

単音だと、少し寂しい感じがします。重音だとパッと輝く感じですし、大事な箇所だと感じます。

最初に、エストレリータは大人っぽい曲と書きましたが、今でも私は大人っぽいと思っています。まあ、十分私は大人なのですが、もっと年を重ねたら、色っぽく、魅力的に演奏ができるのかなあ。と考えたりすることがあります。正直、弾いてるとロマンチックすぎて、少し恥ずかしさみたいなものが自分の中にあったりします。感じ方は国民性の違いなのかもしれないですが、恥ずかしがっている場合ではないので、音楽に没頭したいと思います。

9月24日(火)に新宿にあるバー、トロイメライでポンセのエストレリータを演奏します。バーの雰囲気に合う、とてもロマンチックな曲です。お時間がありましたら、是非お越し下さい。

バイオリン講師 澤井亜衣

バイオリン教室ノータの演奏動画を載せるにあたって、どの曲にするか随分悩みましたが、私がロシアの作曲家が好きなこともあり、チャイコフスキーのメロディにしました。

おそらくロシアの作曲家の中で一番有名なのはチャイコフスキーかもしれません。バレエ「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」、交響曲や協奏曲、色んな編成の作品を数多く残しました。

チャイコフスキーは旋律の魔術師と言われるのですが、本当にメロディーが美しいです。でも、それだけではありません。チャイコフスキーは、音階(ドレミファソラシド)のようなシンプルな音の配列で、魅力的な作品を創り出します。それが魔術師と言われている一つの理由だと思います。

ただ、チャイコフスキー自身は西洋の音楽に憧れを持っていたため、少しロシア風の土臭い音楽が作品から抜けない旋律に少し戸惑いを感じていたかもしれません。でも、それが彼の作品の魅力だと思います。

チャイコフスキーはサンクトペテルブルグ音楽院の第一期生です。その後、モスクワ音楽院で教鞭をとります。(ちなみにモスクワ音楽院の正式名称はチャイコフスキー記念ロシア国立モスクワ音楽院です。)

チャイコフスキーは同性愛者だったのですが、音楽院の生徒ミリュコーヴァに熱烈なアプローチを受けて結婚します。しかし、うまくいかず結婚生活は約2週間。その時に精神的に支えたのが、パトロンのメック婦人です。。メック婦人はチャイコフスキーの才能を高く評価し、金銭的に援助をしました。メック婦人とチャイコフスキーは手紙でのやりとりだけで、生涯会うことはありませんでした。メック婦人はチャイコフスキーに対して、恋愛感情があったとも言われています。

メック婦人は、結婚生活に苦しんでいたチャイコフスキーに休養のために、スイスにある別荘を貸します。その時に作曲したのが、このメロディです。
メロディは「懐かしい土地の思い出」という作品の中に入っていて、瞑想曲、スケルツォ、そして三番目の曲がメロディになります。

チャイコフスキーのメロディ楽譜。ペテルブルグで購入
ペテルブルグの出版社のメロディの楽譜。

別名チャイコフスキーのメロディともいわれる作品は本当に綺麗です。
こんなにシンプルなのに、綺麗と思わせる曲はなかなかないと思います。
無駄な物をすべて排除していて、決して派手さはありませんが、心に残る曲です。
作曲者が精神的に苦しんだからこその、研ぎ澄まされた旋律だと思います。

特に好きなところは最後。ゆっくりな曲は最後の音符が長いことが多いのですが、この曲は他の曲に比べて短いです。それが逆に印象に残ります。 美しいメロデイだからといって名残惜しむように長い音符にしないところが、とてもはかない感じで好きです。

チャイコフスキーのメロディの楽譜。
最後のミの音は四分音符。1つ数えます。
チャイコフスキーのメロディ

でもこの曲、やさしそうに見えて、本当に難しいです。チャイコフスキーはヴァイオリンが弾けなかったようで、ヴァイオリンで弾きやすいようには作曲されていないからです。
彼が作曲したヴァイオリンのコンチェルトは偉大なヴァイオリニスト、アウワーに「演奏不可能」と言われてしまったほど。コンチェルトほどではありませんが弾きにくいです。
でも弾きにくくても、弾きたいと思わせるような作品です。
そのくらいの素晴らしい作品です。

バイオリン講師 澤井亜衣