コンテンツへスキップ

気になっているドラマがあります。それがこちらです。

G線上のあなたと私のポスター
駅構内でポスター見つけました。

女優の波留さんが主演のドラマで来週から始まります。バイオリンを弾いている私にとっては、とても気になります。大人のバイオリン教室をテーマにしたドラマだそうです。

なぜこのタイトルなのかネットで調べてみたところ、主演の波留さんが、「G線上のアリア」を聴いて感動し、バイオリンを習うきっかけになったということらしいです。この曲からドラマのタイトルを考えたのかな。と思いました。

主人公の感動した「G線上のアリア」のG線とはバイオリンの1番低い弦のことです。

バイオリンのG線の写真

バイオリンは4本の弦が張られています。右からE線(ミ)、A線(ラ)、D線(レ)、G線(ソ)といい、カッコに書かれた音が鳴ります。G線はバイオリンで1番低いソの音が鳴る弦です。

写真をよく見ると弦の太さは異なり、左にいくほど太い弦だということがわかります。

今回はバイオリンで1番低い音が出るG線の音を載せてみました。ソの音が鳴ります。これ以上バイオリンは低い音を出すことができません。

「G線上のアリア」という曲は、このG線だけを使って演奏するという曲です。G線だけを使わなくても、この曲は演奏できるのですが、G線のみを使うと深みのある音色、そしてメロディを似たような音の質で演奏することができます。ただG線のみを使用した方が左腕を移動させる(ポジション移動と言います)ので難易度が高くなります。

まず、D線とはG線を使ってG線上のアリアを演奏してみます。

次はG線のみを使って演奏してみたいと思います。

音色の違い伝わりにくいかもしれません。長めの音符に違いが出ると思います。

他の弦を使用してもこの曲は演奏はできますが、深い音色や似たような音質にするためにあえてずっと同じ弦で弾くとキレイに聴こえます。この様に、他の曲でも部分的にではありますが、G線のみでメロディを演奏することがあります。楽譜には、そういう時はsul Gと表記されています。この表記があるとずっと G線上で弾かなければなりません。

G線上のアリアの楽譜
赤く囲んだところにsulGと書いてあります。

楽譜はただ音符だけではなく、色々な事が書かれてあります。その色々な表記を頼りに、色々な事を考え、演奏しています。考えながら、演奏する作業は結構楽しいです。

次回もG線上のアリアについて解説していきたいと思います。

バイオリン講師 澤井亜衣

タンゴの革命児、アストル・ピアソラのドキュメンタリー映画が去年公開されました。

https://piazzolla-movie.jp/

アストル・ピアソラはバンドネオン奏者であり、作曲家。ジャンルは「タンゴ」ではありますが、クラシック、ジャズの要素を取り入れて、独自のスタイルで作曲しました。

クラシックとジャズをタンゴと融合させたこともあり、クラシック奏者が演奏する機会がよくあります。私も演奏します。

以前、アルゼンチンタンゴの演奏会を聴きに行ったことがあるのですが、リズム感や弾き方がクラシックとは異なり、演奏するのが難しそうと思ったことがあります。しかし、ピアソラは色んなジャンルを融合させているからか、主にクラシックを演奏する私にとって、あまり違和感がなく演奏できます。

リベルタンゴは昔、世界的チェリスト、ヨーヨー・マがCMで演奏し、話題になりました。色々な楽器で演奏される、とても人気のある曲です。

リベルタンゴとは、リベルタ(自由)という意味の言葉と、タンゴを掛け合わせた造語です。革命的な音楽を作り出すピアソラにとって、自由は好きな言葉だったんじゃないかなと思います。タンゴは踊りですので、どうしても音楽が二の次になる中で、リベルタンゴは音楽を印象に残させた画期的な作品です。そして、とても情熱的な作品で、音楽に対するピアソラの熱意も伝わってきます。

舞踊音楽は、音楽が二の次になる傾向があるがかもしれません。バレエ音楽などもその一つのような気がします。でも、リベルタンゴのような素晴らしい作品が、舞踊音楽でも素晴らしければ、人気になると示していますし、舞踊と音楽が一緒に表現されることによってできる作品は音楽だけの世界より、さらなる力を与えてくれます。

私が生演奏でリベルタンゴを聴いたのは、私の師である、荒井英治先生の演奏でした。もともとある楽譜に、少し先生のアレンジを加えたリベルタンゴは相当かっこよく、釘付けになりました。そのかっこよさが、頭からずっと離れなかったので、先生にお願いをして、楽譜を貸していただき、そのアレンジをいつも演奏しています。

今日はリベルタンゴ(少し荒井英治編)を載せてみました。ピアノ伴奏は松本日向子さんです。

10月26日(土)12:00から、蒲田にあるカフェクォードにて、リベルタンゴを演奏いたします。奏法もおもしろく、視覚からも楽しめる作品です。お時間がありましたら、是非お越しください。

バイオリン講師 澤井亜衣

お酒の場で盛り上がる曲があります。モンティ作曲のチャールダッシュという曲です。曲調が変化していくので、お酒の場だけではなく、飽きずに最後まで楽しむことができる音楽です。

なぜ、お酒の場と書いたのかというと、チャールダッシュとはハンガリー語で「酒場」を意味する「チャルーダ」が語源だからです。兵士が居酒屋で兵士を募集するために踊った曲です。
聴衆を惹きつけるためには、魅力的な音楽と踊りが必要だったのだと思います。

19世紀には、ウィーンで大流行し、法律でチャールダッシュが禁止になったようです。強烈で中毒になるような音楽だったのかもしれません。

この曲の魅力は、
①ゆっくりなテンポと速いテンポが繰り返されること。
②哀愁漂う民族音楽が使用されていること。
③色々なバイオリン奏法が使われていること。

などが挙げられます。4分程度の曲で、これだけ中身の濃い曲はなかなかないかもしれません。

モンティはイタリアの作曲家でバイオリンの名手でした。いくつか作品を残していますが、有名な曲はチャールダッシュしかありません。

今回はチャールダッシュをところどころ載せてみることにしました。

まずは最初の冒頭の部分。民族的な哀愁漂うメロディで魅了します。

そして、テンポが速くなり、

フラジオ(タイスの瞑想曲でフラジオ奏法を説明しています。)ゆっくりになり、

最後はもっとテンポが速くなって盛り上がります。

こんなに色々楽しめる曲はなかなかないと思います。東欧の音楽なので、哀愁漂う感じが、日本人に合うのかもしれません。

9月24日(火)新宿のバー、トロイメライでモンティ作曲のチャールダッシュを演奏します。お酒を飲みながら、聴いていただけたら嬉しいです。お時間がありましたら、是非お越しください。

バイオリン講師 澤井亜衣

映画シンドラーのリストは、94年に公開されたスピルバーグ監督の作品です。アカデミー賞も受賞しています。この映画音楽を担当しているのが、ジョン・ウィリアムズです。

ジョン・ウィリアムズはスターウォーズやE.T.など、誰もが聴いたことのある映画音楽を作曲しています。

シンドラーのリストのテーマは、シンドラーのリストの映画のために作られたバイオリンの曲です。映画音楽ではありますが、クラシックとしても演奏されることのある中間的な作品です。ユダヤ人バイオリニスト、イツァーク・パールマンに献呈されました。

私はこの曲を聴いたことがきっかけとなり、映画音楽が好きになりました。映画音楽は物語があるので、とてもわかりやすく、スッと音楽が入ってくる気がします。

引退したロシア人のフィギュアスケート選手、ユリア・リプニツカヤ選手が、この曲で素晴らしい演技をされたのは、とても記憶に残っています。スピルバーグ監督はリプニツカヤ選手の演技を観て感動し、リプニツカヤ選手に手紙を送ったほどです。

映画音楽ですが、映画だけではなく、このように曲が知れ渡るのは、本当にいいなと思います。作曲されてから年数が経つにつれて、その曲に関するエピソードが色々作られていくことは、楽しみでもあります。

今回、この曲の最後の部分をピアノなしとピアノ伴奏ありで載せてみました。楽譜にwarmlyと書かれているのですが、ピアノが入るとさらに際立ちます。私はその部分の色んな音が混ざった柔らかさがとても好きです。

シンドラーのリストのテーマの楽譜
星印のところが好きなところです。

最初にピアノなしで、バイオリンのみの音。11秒で星印のところを弾いています。

ピアノ伴奏ありの音。こちらも11秒で星印のところを弾いています。

ピアニストの清水さんと合わせをした際に、ピアノとバイオリンの音源を録ってみました。
バイオリンは一つの音で弾くことが多いので、ピアノの沢山の音が入ることで、綺麗なハーモニーになります。違う音、そして異なった音色が入ると、同じ場所を弾いても、違う感じの雰囲気で聴くことができます。そして、弾いている側も、ピアノ伴奏がある時とない時では感覚が変わり、面白いです。

新宿にあるバー、トロイメライにて、9月24日(火)シンドラーのリストのテーマを演奏いたします。悲しい曲ではありますが、聴きやすい映画音楽で深みのある曲です。お時間がありましたら、是非お越し下さい。

バイオリン講師 澤井亜衣

作曲家について書かれたオススメの本があります。それがこちらです。

大作曲家の履歴書というタイトルだけあって、本当に履歴書が書かれており、著者がそれに付け加えるように、作曲家について解説しています。簡潔に書かれているのでオススメです。

この本については、また詳しく違う機会に書いてみたいと思います。私がこの本で衝撃を受けたのは、モーツァルトの作曲した約9割は明るい曲だということ。

確かに、モーツァルトの名曲はアイネクライネナハトムジークやディベルティメントなど、どれもこれも明るい曲ばかり。ただ、残りの1割の暗い曲は、普段のモーツァルトでは聴けない特別な感じの曲でもあると思います。

モーツァルトのバイオリン曲もほとんどの作品が明るい曲です。私はどちらかというと暗めの曲が好きなので、正直モーツァルトは苦手なのですが、バイオリン曲で気に入っている曲が一つだけあります。バイオリンソナタ ホ短調 K.304です。

バイオリンソナタとはソナタ形式という形式で作られた曲のこと。モーツァルトはバイオリンソナタをたくさん作曲していますが、(作品番号が複雑な為いくつとは言いづらいです)その内、暗い曲は本当に少ないです。

この作品はモーツァルトが22歳の時の作品です。なぜ暗い曲になっているのかは定かではありませんが、この年に最愛の母親を亡くしています。その影響もあるかもしれません。

母親は誰にとっても特別な存在だと思いますが、モーツァルトにとってもそれは同じことだったと思います。神童と呼ばれていたモーツァルトは小さいころから演奏旅行をしていたので、母親と離れて旅行することもありました。どちらかといえば、音楽家であった父親の方が存在がモーツァルトにとって大きかったかもしれませんが、家族を亡くした悲しみは大きかったと思います。

二楽章からなる、このソナタは1楽章アレグロという速いテンポで、2楽章はメヌエットのテンポでと指定があります。メヌエットとは三拍子の踊りの曲です。1楽章は少し険しさと悲しさ、2楽章はどこか懐かしい思い出を回想するかのような感じがします。ソナタ形式はピアノもバイオリンと同じ様に、メロディを弾いたりするので、ピアノも聴きどころがたくさんあります。特に2楽章は少し高めの音域で書かれていて、とても綺麗です。

ロシアのバイオリニスト、オレグ・カガンが、ロシアのピアニスト、スヴェトラーノフ・リヒテルと共演しているのがありました。モスクワにある、プーシキン美術館で演奏されたものです。

モーツァルトは明るい曲を数多く残しましたが、作曲家は、作曲した年齢や、その年の出来事などによって作風が変わってきたりするので、とても面白いです。

9月24日(火)新宿のバー、トロイメライでモーツァルトのバイオリンソナタホ短調 K.304を演奏します。バーでバイオリンソナタを演奏するのは珍しいと思いますので、お時間がありましたら、是非お越し下さい。

バイオリン講師 澤井亜衣

新宿にあるバー、トロイメライでマスネ作曲のタイスの瞑想曲を演奏する予定です。

「ゆっくりなテンポで美しい有名な曲は何ですか?」と聞かれたらおそらくタイスの瞑想曲と答えると思います。バイオリン奏者が良く演奏する曲です。

もともとは、マスネ作曲のオペラ「タイス」の1場と2場の間に弾かれる間奏曲で、コンサートマスター(オーケストラの演奏をまとめる人で、第1バイオリンの1番前に座っている人)がソリストになり、オーケストラと演奏します。

オペラのあらすじですが、娼婦のタイスと修道士アタナエルの恋物語です。この瞑想曲はタイスがアタナエルの説得により、改心して、信仰の道に入るという重要な場面で演奏されます。

現在は、オペラ「タイス」が上演されるより、タイスの瞑想曲の部分のみをバイオリンのリサイタルなどで演奏されることの方が多い気がします。

タイスの瞑想曲の中で「フラジオ」という奏法が結構でてきます。フラジオの弾き方ですが、本来ならバイオリンは左手をしっかり弦に押さえて演奏するのですが、フラジオは弦に軽く触れるように、指を弦にのせます。そうすると透明感のある不思議な響きの音が出ます。

まずは、しっかりと指を押さえた普通のバイオリンの音です。

バイオリンの押さえ方
薬指を押さえました。レの音が鳴ります。

次に指を弦に触れただけのフラジオの音を載せてみました。先程の普通の音の音源と同じ場所で弾いていますが、かなり高い音に感じられると思います。周波数の違いらしいです。

フラジオ
同じく薬指ですが弦に触れるだけです。

この音を初めて聴く子供達は、とても喜んでくれます。バイオリンのいつもの音色とはかなりの違いがあるからだと思います。そして、子供達はこの弾き方をとても練習したがります。綺麗な音ということもあるとは思いますが、指の力がいらないからです。子供達にとってはフラジオの方が楽みたいです。確かに私も簡単に音が出せるので、フラジオの音を出して子供の頃は遊んでいました。

フラジオの音符の書き方も特徴があります。これがフラジオの音符です。
ダイヤっぽい形をしています。

そして、タイスの瞑想曲の最後の段を載せてみました。

タイスの瞑想曲
赤いカッコのところを演奏しました。

最後の2つ音符はフラジオで弾いています。タイスの瞑想曲は他の場所でもフラジオの音が何回かでてきます。

瞑想曲なので、宗教的で厳かな感じですが、、強弱がとても激しく、物語があるということもあり、どこか人間臭さが感じられます。二面性がある曲だと思います。少しでも、それが表現できたらと思います。

9月24日(火)に新宿にあるバー、トロイメライでタイスの瞑想曲を演奏いたします。名曲ですので、聴きに来ていただけたら嬉しいです。20:00〜になります。お時間がありましたら、是非お越しください。

バイオリン講師 澤井亜衣

私は、小さい子供の生徒様を教えることもあります。ディズニープリンセスの曲を練習したりするので、プリンセスの話はよく話題になります。

私の周りの子供達の中で1番人気のプリンセスはラプンツェルです。私は5年くらい前まで「塔の上のラプンツェル」の映画を観たことがなかったのですが、子供達にとても人気なので気になり観ることにしました。

やはり、ラプンツェル面白かったです!

そして、映画で流れる音楽「輝く未来」も好きになりました。たまに、この曲をコンサートで演奏しています。

プリンセスのお話なので、恋物語はあるものの、根本には人間同士の信頼関係がテーマになっていると思いました。
ラプンツェルとユージーンとの間に信頼関係が芽生えてくる時に歌われる「輝く未来」は穏やかで温かみのある曲だと思います。歌うシーンで出てくるランタンの光にも合う、ぬくもりがある音楽のような気がしました。

作曲されたのはメンケンさんです。アナと雪の女王やアラジン、美女と野獣などの作品を手掛けています。

今回は輝く未来をバイオリンの奏法の一つであるビブラートを使って、載せてみました。ビブラートとは、左手で指を押さえる時に、位置を微妙に揺らす奏法です。ビブラートをかけながら演奏するとふくよかな音色になり、ゆっくりとした曲などは表情が豊かになり、綺麗に聴こえます。

まずは、ビブラートなしで輝く未来の冒頭の部分を演奏してみました。

次に同じ部分をビブラートありで弾いてみました。

どうでしょうか?違って聴こえましたでしょうか?

私は、輝く未来を弾く時は、音符のほとんどにビブラートをつけて演奏しています。その方が曲に合うと思うからです。柔らかさ、穏やかさ、安心感のような音色が出せたらいいなと思いながら、ビブラートのかけ方を練習しています。

ラプンツェルの曲は、美女と野獣やアラジンに比べて演奏される機会が少ない感じがしますが、同じくらい素晴らしい曲です。

9月24日(火)新宿にあるバー、トロイメライにてコンサートを行います。プログラムに輝く未来を予定しております。お時間がありましたら、是非お越しください。

バイオリン講師 澤井亜衣

クライスラー(1875~1962)はウィーン出身のバイオリニストであり、作曲家で、ウィーンが色濃く表現されている作品が多いです。自身の出身地をとても愛していた音楽家だと思います。

愛の悲しみもレントラーという、ウィーンの古いワルツのテンポでと表記されており、愛の喜びも、ウィーン地方の古い民謡に基づいています。彼の音楽はウィーンなしでは、語れないだろうと思います。

コンサートに向けて、愛の悲しみと愛の喜びを練習していますが、二つ同時に取り上げることによって、比べることができて、とても面白いです。

両方とも共通して言えることはメロディーの繰り返しがとても多いこと。悲しみと喜びを丁寧に表現したかったのか何回も同じメロディーが繰り返されます。

悲しみは重音を使用していないのに対し、喜びは重音を惜しみなく使って作曲されています。エストレリータのブログで少し書きましたが、重音を使うと華やかになるので、バイオリンで喜びを表現するにはとても効果的だと思います。

今回は愛の悲しみと愛の喜びの最後の部分を載せてみることにしました。
最後の最後まで、愛の悲しみは悲しみ、愛の喜びは喜びが表現されていると思ったからです。

まずは愛の悲しみの最後の部分。

最初は2つの音を急速に連続にして往復させる奏法(トリルと言います)をして、消えるような感じで終わります。

次は愛の喜びの最後の部分

私はどちらかと言えば、哀愁のこもった愛の悲しみの方が好きです。
特に気に入っている箇所があります。その音源がこちらです。

赤いカッコのところを演奏してみました。

この青で丸を付けた場所が、少し悲しみから抜けたような明るい感じ(音楽用語では長調。瞬間的明るくなるだけですが。)になっているところが好きです。最初から青い部分までは悲しい感じで(音楽用語で短調)、音と音との跳躍があったとしても5つ分(例えばドから始まったとしたらソまで。 音楽用語で【5度】と言います。)なのですが、青い部分は明るい感じになるからなのか、ドからラまで(ドレミファソラ6つ分。【6度】)なっています。この青い部分は、今までにない6度あがるということで、少し希望の持てた音と音に私には聴こえます。その後、また黄色の部分はまた悲しい感じ(短調)に戻ります。黄色の部分は音がシからファなので跳躍は5つ分。また最初と同じ悲しい感じになったんだなと思いました。

音と音のつながりはおもしろく、これだけで音楽は表現できませんが、これだけでも曲について色々考えることができます。

9月24日(火)新宿にあるバートロイメライで、クライスラーの「愛の喜び」と「愛の悲しみ」を演奏します。どっちが好みか考えたりするのも楽しいと思います。お時間がありましたら、是非お越しください。

バイオリン講師 澤井亜衣

ホームぺージのごあいさつに、バイオリンは人の声に近い楽器と書きました。それが理由かどうかはわかりませんが、感情のこもった作品がバイオリン曲にはたくさんあります。

ウィーン出身の名ヴァイオリニストで、作曲家でもあるクライスラー(1875~1962)も感情のこもった作品を数多く残した音楽家だと思います。ロンドンデリーの歌などの編曲もしており、素晴らしい作品をバイオリン曲に編曲して、残してくれました。

クライスラー
クライスラーの写真。凛とした佇まいです。

彼の作品の特徴として、どれも高貴です。中国の太鼓や、ロマンティックな子守唄など、タイトルを見ても、面白そうと思える作品が多くあり、演奏時間も2、3分程度の曲が多く、聴きやすいです。

クライスラーの作品の代表作として、愛の悲しみという曲があります。
広瀬すずさん主演映画「四月は君の嘘」の中で演奏され、さらに有名になったと思います。よくリクエストされる曲なので、今回も新宿にあるバー、トロイメライで演奏することになりました。対をなす作品として、「愛の喜び」という曲があります。リクエストはなかったのですが、せっかく対になっているので比べてもらいたいという思いがあり、これも演奏します。

愛の悲しみは、ウィーン古典舞曲集の中に入っており、1曲目は愛の喜び、2曲目が、この愛の悲しみ、そして3曲目は美しきロスマリンという曲です。

愛の悲しみはウィーンの古いスタイルのワルツで書かれています。なので、悲しみと言ってもそこまで悲しい感じには聴こえないような気がします。

映画「四月は君の嘘」を観たのですが、映画の中ではショットという出版社から出ている楽譜を使用していました。有名な曲は、様々な出版社から出版されていて、愛の悲しみも色々な版があります。

今回、私はショット版で演奏します。

クライスラーショット版の楽譜

映画を観てこんな表紙じゃなかったと思われるかもしれませんが、これは、ショット版のクライスラーの作品がたくさん載っていている楽譜です。映画の楽譜は、愛の悲しみの一曲だけしか入っていません。
一曲だけで購入する場合は、映画に出てきた表紙のようになります。こんな感じです。

ショット版の楽譜
シューマンの楽譜。クライスラーじゃなくてすみません。

この楽譜はシューマンですが、映画に出てきた楽譜は、こんな表紙だったと思います。

映画で、山崎賢人さんが、ラフマニノフ編曲の「愛の悲しみ」をピアノで演奏しているシーンがあります。ラフマニノフはロシアの作曲家で、ピアニストとしても活躍していた音楽家です。クライスラーと親交があったそうです。ラフマニノフはクライスラー作曲の「愛の喜び」も編曲しています。

そして、クライスラーもラフマニノフの曲を編曲しています。「パガニーニの主題による狂詩曲より第18変奏」という曲です。

ラフマニノフ狂詩曲 クライスラー編
クライスラーが編曲したラフマニノフの曲。

お互いの曲を尊敬し、好きだったから、お互いが得意とする楽器で編曲した、ラフマニノフとクライスラーの関係はいいものだなあと思いました。
ラフマニノフはピアニストだったので、バイオリンの曲がとても少ないです。なので、ラフマニノフが好きな私は、ラフマニノフの曲をクライスラーが編曲してバイオリン譜にしてくれたことに感謝です。

9月24日(火)に新宿にあるバー、トロイメライにて20:00〜演奏します。クライスラーの愛の悲しみ、愛の喜びを弾く予定です。お時間がありましたら、是非お越しください。

バイオリン講師 澤井亜衣


ポンセ(1882~1948)のエストレリータを知ったのは高校生くらいの時です。ロシアのバイオリニスト、ハイフェッツのアンコール集のCDを購入したら入っていました。ハイフェッツが編曲し、演奏することによって、有名になったそうです。

初めて聴いた時の感想は、オシャレで大人っぽい曲だなと思ったのを覚えています。エストレリータはスペイン語で小さな星という意味だそうです。別名メキシコのセレナードとも言われています。ポンセはメキシコの作曲家でギターの作品を多く残しています。彼の代表作はこのエストレリータです。

エストレリータはギターで演奏することもありますが、もともとは歌曲です。作詞もポンセがしています。訳詞を読みましたが、かなりロマンチックなものでした。(小さな星に、女性が彼の思いを教えて欲しいと願う愛をテーマにした詩でした。)

ポンセはこの作品を夜行列車で考えたようです。作詞した場所もロマンチックで絵になります。

エストレリータは、アンコールに良く演奏されます。私の恩師アナスタシア先生もリサイタルのアンコールで演奏されていました。この曲で、最後がフワッとした余韻が残る雰囲気のコンサートになったことを覚えています。

バイオリンで弾くと、どこか懐かしい感じになるような気がします。歌詞があればもっと雰囲気が出るのかもしれませんが、その分、ヴィブラート(音を揺らして弾く奏法)やポルタメント(音から音へ音程を変えながら滑らせる奏法)を使ってロマンチックに弾けるといいかなと思います。

それから、音が重音になるところはとても魅力的です。しかも高音なので、とても華やかで、タイトルにピッタリです。ヴァイオリン は単音で演奏する場合が殆どですが、重音で弾くと印象が変わりますし、華やかさが増します。今回はその重音の部分を1つは単音(上の声部のメロディーラインのみ)2つ目は楽譜通りの重音の音を載せてみました。

まずは単音です。

そして、楽譜通りの重音です。

単音だと、少し寂しい感じがします。重音だとパッと輝く感じですし、大事な箇所だと感じます。

最初に、エストレリータは大人っぽい曲と書きましたが、今でも私は大人っぽいと思っています。まあ、十分私は大人なのですが、もっと年を重ねたら、色っぽく、魅力的に演奏ができるのかなあ。と考えたりすることがあります。正直、弾いてるとロマンチックすぎて、少し恥ずかしさみたいなものが自分の中にあったりします。感じ方は国民性の違いなのかもしれないですが、恥ずかしがっている場合ではないので、音楽に没頭したいと思います。

9月24日(火)に新宿にあるバー、トロイメライでポンセのエストレリータを演奏します。バーの雰囲気に合う、とてもロマンチックな曲です。お時間がありましたら、是非お越し下さい。

バイオリン講師 澤井亜衣